元編集者のナゾとき☆日記

ミステリー系のTVドラマ・映画・漫画の感想や生活実感コラムをつれづれなるまま書きます。

file43新未来ジパングへ! ドラマちっくな漫画「BASARA」が好きな理由

今週のお題「一気読みした漫画」

私の「一気読み」必定イチオシ作品は「BASARA」! 20世紀に完結してる作品(1990-1998年に連載)だけど、今見ても面白い!です。この作品は私にとっては初めて大人買いした漫画で、当時、休日に一気読みしました。続きが気になり出したら止まらないって奴です。家事、各種労働などが放り出せる日、休養日が2日以上あるときにオススメです♪

 

物語は、高度な文明が消えた未来のジパング。王を倒して新しい国を作ると予言された「運命の子ども」タタラは、仲間とともにその悲願を達成できるのか?壮大なスケールで描かれる、愛と冒険の物語です。

って書くと、誤解招くかな。少女漫画にしては、愛より自分の義務優先です。けなげ。

主人公の更紗は泣き虫だけど、タタラを名乗るときは、なかなか男前のところもあり、凛々しいです。仲間がどんどん増えていくんですが、一党の中で頂点のように君臨するんじゃなくて、仲間同志で磨き合い、助け合っていくシステムを作っていく感じ。他の漫画で例えるなら「アルスラーン戦記」※1の王子アルスラーンに似ているように思います。

さて、このタタラをキャベツに例えるなら(なんでキャベツ?というツッコミはさておき)、敵側の王家きっての殺し屋、柊がマジで「キャベツの中心にいるかと思って、周囲(仲間)を一枚ずつもいでいったがダメだった。実は全員がキャベツで、タタラは畑だった」と語ります。

この真剣勝負の合間に、つるっと差し込まれるゆるいユーモアとか、次々登場する人物の名前が和もの系で姿を連想しやすく(柊、群竹、梅若、蘭丸、菊音)、彩りも加えて(朱里、浅葱、銀子、蒼の王など)楽しいです。

出発は山陽、そこから九州、沖縄、関東、熊野(作者が和歌山県出身の影響か、この地域のことは結構たっぷり)、東北から北海道そして京都と、アクティヴ・ジュニア更紗の旅は続きます。12歳からスタートして、最終巻では16、17歳かな? 苦労してます。

 

自分にとっては、文化的に空白の時期(=仕事や子どものことなどで忙しくて本も漫画も読めず、ほとんど自分の時間がなかった1990〜1999年)の記憶?思い出?を埋めてくれた、傑作漫画! 読み始めたら、やめられない、止まらない、絶品です!! 

ただし、少女漫画でよくここまで描けたなあと思うシーン(暴力、虐待など)もイロイロあります。別冊少女コミック連載中は、大丈夫だったんかいな。

 

魅力1●少女漫画でも少年漫画の要素(闘い・仲間との友情・主人公の成長)たっぷり。

魅力2●架空の「未来社ジパング」が舞台だけど、ディテールに和もの(四神、四天王など)を組み合わせているので、国語(古典)や歴史や旅行好きにはウホホな感じ♪

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「BASARA」田村由美・作、小学館、コミックス全27巻・文庫全16巻(写真は私文庫版・私物)

魅力3●W主役(革命リーダーに成長する更紗、王家の暴れん坊だが「在るべきジパング(民主制)」に目覚めていく朱里)に、イケメン軍団(女性も、ハンサムガール多し!)ぞろぞろ登場! しかもみんなアタマ良くて、武芸も達者で、強くて、優しいのに、課題を抱えた(生まれや育ち、自己肯定感の低さ)キャラ揃いです。

もう、どんだけ〜♪って感じで、全キャラクターが、ほぼ自分で考え、自分で人生を選択していきます。誰も、主役の添えモンじゃないところが、スゴい!!

魅力4●最初から最後まで、ストーリーに、手抜きなし。ジェットコースター並みに、全巻イロイロ気持ちを揺さぶられます。友情もあれば裏切りもあり、喜びもあれば悲しみもあり、重苦しいセリフもあればクスッと笑えるコマもあって、飽きません。

また、少女漫画は、しばしば、ラスト手前に最高潮が来て、ラストはややトーンダウン気味のことも多いですが、この作品は、とにかく最後まで「どうなっちゃうの?」が続くノンストップ・コミックス。更紗と朱里の恋愛関係の着地点は、最終巻のギリギリまで読めないし、その後の外伝まで、安易に着地させてない(更紗と朱里の〝戦後〝はしばらくギクシャク)ところがいい。巻数によって、充実・非充実の差なし!というのも、この作品のステキなところ。

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全巻引っ張り出したつもりが、第3巻が行方不明。この記事書くのにまた読み始めてしまった・・

◆印象的なキャラクター、セリフ◆

更紗・・主人公。白虎の村の生まれ。王政に反旗をひるがえすリーダー「タタラ」を名乗る。

朱里・・W主人公。赤の王。更紗と両思いだが、実は更紗の兄と父を殺した張本人。

ナギ・・盲目だが、医学・薬学などの知識が豊富。更紗の師。出自はナゾ(ヒントはある)。

・更紗の仲間・・揚羽(遊牧民の貴族から奴隷に。別名「帰蝶」)、ハヤト(九州出身、弓矢の名手)、茶々と座木(もと海賊)、聖と那智(熊野出身)、雷蔵、多聞など

・朱里の仲間・・四道(いとこ)・かざん将軍・サカキ・弓場など

・更紗と朱里の共通の知り合い・・芭蕉先生(医師、ナギの師)、安里大統領、ユウナとナキジン(沖縄出身)など。

・王族・・黒の王、白の大姉(銀子)、蒼の王(蛇王? 浅葱?)、赤の王(朱里)

登場人物はまだまだいっぱい。どんだけキャラ設定に時間かけたんだろー。

 

「私は、要らない子なの?」by更紗。アイデンティティの危機。

「まわりに人がいないのは、本人が悪いんだよ」by更紗。朱理へのアドバイス

「片側だけが悪い戦争はない」by揚羽。

「真実も少しくらいはあったさ。信じてやれ」by朱里。奴隷に落とされ、牢にて。

「これはあたしのケジメの戦いなの」by菊音。先輩2人(梅若、蘭丸)との対決。

 

◆終わりに◆

切なくて、重くて、でも目が離せなくなる漫画です。そして今、自宅にあったBASARAを引っ張り出して、読み始めちゃったので、なかなか記事が書き進められません(笑)でした。

漫画の内容の濃さももちろん記憶に残っていますが、この作品を読んでいた時間(時期)のことも、イロイロ思い出します。対人関係、悩んでた頃だったなあとか。自分は、この中で誰のように生きていきたいかなとか。

漫画読みは、裏でも横でも、斜めでも、イロイロ読めて面白いですよね。

 

※1 アルスラーン戦記 大河ファンタジー作品。漫画は荒川弘さん、原作は田中芳樹さん(原作は2017年完結/角川書店、光文社/最終巻は光文社刊行、漫画は現在16巻まで刊行/講談社)。原作の小説は、スタートから最終巻まで約30年。

 

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BASARA 1

BASARA 1

BASARA 1