元編集者のナゾとき☆日記

ミステリー系のTVドラマ・映画・漫画の感想や生活実感コラムをつれづれなるまま書きます。

file 36「 書店」さんとのお付き合い

今週のお題「575」

●並んでる♪ カオか背中で ナンパして●

↑書店に並んだ、本や雑誌のキモチになって詠める。

本や雑誌をナンパする場所=書店さん。雑誌はカオ=表紙がキモ。すぐ棚差しになる書籍は、背中=背表紙がポイント。と、昔教わりました。ナンパする人=読者さん、です。

 

雑誌編集者だったころ、たまに書店訪問という業務がありました。自分の思い込みだけで企画を考えないため、書店で読者にどう見えるか考えるため、です。書店さんに行って、自社の刊行物の見え方・置かれ方・売れ方を見る、できれば書棚コーナーの担当者さんとコミュニケーションとれるよう、がんばる♪(かまってもらえないことの方が多かったけど〜)が、目標です。

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▶︎売り場では、ヒイた目で見る◀︎

通常は、販売部(出版元によっては「営業部」などが担当)の社員が、自社の制作物の陳列・在庫・売れ行き状況などを確認するために、頻繁に訪問している(はず)※1 ですが、「販売強化月間」になると、編集者も書店の棚を見に行きます。お店の担当さんとお話しできたらラッキー♪です。バックヤードに入れてもらうことは、まずありません。※2

雑誌は、表紙の見え方で売れ行きが変わります。そこで、発売当日あたりは、よく自主的に自宅や勤務先近くの書店さんに行きました。他社媒体と並んだ印象をチェックして、次の号(実際は、次々号くらい)の参考にします。PCの画面だけでは確認できないヒントが、売り場にはいろいろあります。ヒイた目で見ることが大切でした。

 

自分が編集者として関わった雑誌を、手に取って、レジに持っていってくれる読者さんに遭遇したときは、嬉しくて、、、つい、その後ろ姿に小さく手を合わせて拝礼しました。

自分が担当した記事(雑誌)を、待っててくれた人がいる。自分の仕事が役に立っていると感じた、人生最初の瞬間でした。本当に嬉しかったです。

 

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※1 小学館の漫画「重版出来(じゅうはんしゅったい)」で、営業部の若手社員、小泉くんがやっていた通り。同作品がTVドラマ化されたときは、坂口健太郎さんが好演!

※2「図書館戦争」本篇4冊の最後の巻では、ヒロインとその上官と作家さんがバックヤードに一時避難させてもらうシーンがあります。書店さんが、その一行にかなりの共感をしているエピソードだと思います。

 

▶︎書店さんとのお付き合い◀︎

本や雑誌、コミックス本の購入希望者、一利用者として、今もときどき書店さんに行きます。話題の書とかもわかるし、世の中から隠遁したような生活をしている自分には、ちょっとした刺激になります。

プロの書店員さんは、本当にいます。自分の仕事に誇りを持ち、きちんと売り場作りをし、売る努力を惜しまない。定期的あるいは不定期でも、POPが変わる、売り場の配列を工夫している書店さんには、必ずそういう人がいます。

プロの書店員さんは、ヒトの目線の高さも意識しています。スーパーの品揃えではないけれど、成人が見やすく取り出しやすい高さ120-140㎝の棚に、売りたい本が入ってることも、結構あります。

以前、ある書店員さんは「お孫さんに贈る絵本を探すのに、最近の絵本は分からないから予算はコレで見繕ってと頼んでこられたお客さまがいました。時間がない、即決したい事情もあるかと思いますが、書店はお客さまと本との出合いを提供する場所でもあります。イイと思える本を探すまでの時間も、楽しんでいただけたら、と思うのです」と言ってました。取扱う本や、利用者に対する愛を感じましたですよ。

 

一方で、デモシカ書店員さんもいます。まあ「シカたない、◯◯◯デモやるか」という感じの職業人は、どこのギョーカイにもいますから、仕方ないですが(笑)。問題なのは、それがデモシカ店長の場合です。

私が出会ったのは、コミックス本のシュリンクパック(おなじみの、コミックス本の立ち読み防止用に、ラップ状のものをピタッと&くるりと巻いたヤツ)をとってくれない店長さんでした。理由は、「せっかくウチで巻いたのに、ここで取れない」ですと。企業ゴミも出したくないってわけだ。企業ゴミは有料だからね。もちろん「有料だから」と言って、カバーもナシ。袋も、もらえません。

そのとき、利用者のことより、自分の便利?コスト?を優先しすぎの書店なんて、ダメじゃね?と、内心、ぷりぷり怒ったのでありました。。。

利用者(購入者)に対して、愛はないんか。(笑)