元編集者のナゾとき☆日記

ミステリー系のTVドラマ・映画・漫画の感想や生活実感コラムをつれづれなるまま書きます。

【推し!ミス26】ドラマ「NEW TRICKS〜退職デカの事件簿〜」は、中高年のホシだ! ←犯人じゃないよ♪

「らしくない」探偵あるいは刑事モノのファンです。そんな不純な理由で選んだのは、VOD※1で見つけたドラマ、おばさんデカ(失礼)と三匹のおっさん(失礼)退職デカが組んで、難事件を解決するという「NEW TRICKS〜退職デカの事件簿〜」です。

ヒーローやヒロインからは程遠い風体の中高年4人に、黒人でITが得意な若者1人が加わったチームUーCOS(ユーコス)が、期待を裏切る!大活躍をします。

やっぱ、BBCのドラマは、配役からして、奥が深〜い。ベテランで、演技の実力あって存在感あるけど、今まで脇役が多い感じの俳優さんたちが、いい味、出してます。

 

タイトルの「ニュー・トリックス」の意味は、(新しいトリックじゃなくて)英語の諺You can't teach an old dog new tricks(老犬に新しい技は教えられない)の「新しい技」のこととか。思わず、うふふ私も老犬だわ♪と自虐に笑って見始めたところ、溢れるユーモア、おっさんたちのアナログな暴走っぷりなどに、ハマってしまいました。

シーズン12まで続いた(2003年パイロット版、2004〜2015年まで)ドラマシリーズだそうです。原作小説はありません。ドラマオリジナルの脚本のようです。

 

※1 動画配信サービス。2021年6月現在、「ニュー・トリックス」はdtv、Amazonプライムなどで視聴できます。無料視聴の期間や無料で見られる「シーズン」などがそれぞれ違うようなので、ご確認ください。

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▶︎未解決事件に対する感覚が、ちがーう!◀︎

以前、韓国ドラマ「シグナル」と日本版「シグナル」に関する記事を書きました。この「ニュー・トリックス」と共通してるのは、未解決事件や保留中の事件を扱うことです。でも、東洋の警察と西洋の警察では、未解決事件に関する感覚が、少し違うようです。

「シグナル」では、未解決事件をほじくり返すのは、警察の恥を晒すようなものだと言って、否定的。はぐれ者みたいなメンバーで構成された担当チームは、他セクションから、冷たい目で見られていました。

それに対して「ニュー・トリックス」では、未解決事件に終止符を打つのは、被害者家族の魂を救うことになる+広報として市民に好印象をアピールできる的な位置付けで、担当チームに、やや肯定的です。まあ、エリートコースから外れた女性警視を体良く追っ払い、かつロートル(失礼)再雇用で、経費もかけずに進められれば、体裁良くおさまるって上層部の計算も見えます。

どちらの担当チームも、デスクが置かれた場所は、署内の隅っこ(ニュー・トリックスは地下)で、花形の部署とは言い難い、扱いのは共通です。

 

 ●韓国や日本のドラマ「シグナル」に関する記事はこちら

 

oshi-mystery.hatenablog.com

 

 

oshi-mystery.hatenablog.com

 

▶︎ハイテク ローテク 関係ない 老犬に新しい芸は無理◀︎

↑このドラマシリーズのテーマソングの歌詞の一部です。

UーCOSを率いるボスは、エリート警視正のサンドラ・プルマン。彼女のもとに参集したトリオ・ザ・老犬(おっさんデカ)は、かつての上司でもと警視正のジャック・ハルフォード、記憶と分析力のもと警部補ブライアン・レイン、離婚歴3回の女好きだが憎めないもと巡査部長(若い頃、上司を殴って警官を辞める羽目になった男)ジェリー・スタンディングというメンバー。

それぞれスネに傷もつ身で、それぞれ違う悩みを抱えています。捜査方法も昔ながらのやり方を通そうとしたりして(←老犬に新しい芸は無理♪)、違法な録音とか違法な検体採取とかアブナイ橋も渡って、ときどきボスのサンドラを怒らせます。暴走もします。でも、みんな、犯罪に対してキチンとした倫理観を持った、良心的な刑事さん。時たま、ホロリとさせてくれる人情みあふれる、いいデカさんです。

彼女と彼らは、時には過去に残してきたトゲみたいな部分(妻の事故死、略奪愛、持病など)と直面します。もしそのトゲを抜くと、心がヒリヒリすると分かっていても、真実に至ることを選びます。

 

例えば、サンドラと警察学校同期の女性警官が死んだ事件について。

サンドラは「ヒトのものが欲しくなるタチだった」とおっさんに呟き、その女性警官の恋人だった男(警察学校を辞めて警備員になっていたがケガをして引退)に会って「久しぶりね」と淡々と話します。男はサンドラと浮気し、それがバレて恋人だった女性とも破局。新しい道を選んだはずが、、。そんな事情聴取を繰り返して、思いがけない犯人に至るのです。

また違う事件では、ゴルフクラブで殴られて死んだ少年、殺害容疑をかけられたために死んだ少年の事件を調べるうちに、意外な不倫(私生児の存在)や傲慢な真犯人のジコチューぶりなどに出くわしたりします。

1話、見終わるごとに、静かな爽快感があります。次はどんな話かな?と思わせる、習慣性視聴中毒(笑)に陥らせる魅力があります。

 

老犬でなくても(笑)、楽しめるドラマ。無理しなくても、今の自分を肯定していいかもな、なんて、アサーション効果が上がりそうなドラマです。