元編集者のナゾとき☆日記

ミステリー系のTVドラマ・映画・漫画の感想や生活実感コラムをつれづれなるまま書きます。

0616/来年1月の月九は主演・菅田将暉さんで、「ミステリと言う勿れ」

今週のお題「575」●番宣が 早すぎちゃっても 心配よ?●

↑月九「イチケイのカラス」が続編ありげに終わった翌日0616に詠める

ちょっと前、来年1月から始まる月九が、「ミステリという勿れ」で、主演が菅田将暉さんという発表がありました。とたんに、主人公の久能 整(くのう・ととのう)くんは「菅田将暉さんもいいけど他の俳優さんの方がイメージ合う」云々の論議?が巻き起こっています。

どちらにせよ、好きな漫画が話題になるのは嬉しいなあ。むしろ、どのエピソードが月九になるのかが気になるなあ。番宣(番組宣伝)が、こんな早くて大丈夫なんかなあ。とか思ったので、今週のお題に参加してみまーす。

主人公がキョーレツなインパクトを残したのは、やはり第1巻で、整くん自身が犯人と疑われ、刑事たちと談話するシーンだと思うので、そこは絶対ドラマに入れて欲しいなあと思いつつ。長いセリフが多くて大変だと、菅田さん自身も語っていたようですが。

一例を掲げます。

(今、原本の小学館コミックスを確認してないのでうろ覚えです。間違ってたらごめんなさい)

「日本では、例えば野球選手が子どもの出産に立ち会うから出場できないと言うと、奥さんに尻に敷かれてとか可哀想にっておじさん達が言うけど、アメリカ大リーグの選手だと違う。子どもの出産に立ち会うのは、義務じゃなくて、権利だと思ってるから、堂々と主張する」

「ボクを公園(注/犯罪場所)で見かけたと言うヒト=善意の目撃者で、刑事さんは信じると言うなら、行ってないしやってないという僕の話はどうして信じないんですか? 善意の目撃者というヒトにこそ、なにかのメリットがあって、ボクを犯人にしたいんだとはなぜ思わないんですか?」

 

以下は、8巻のオススメにとどめています。

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オススメ漫画/セリフに感動!「ミステリと言う勿れ」

 

最新刊は8巻です(2021年3月10日発売)。帯に「700万部突破」とあります。登場人物のセリフがとても心に染みる漫画です。秀逸な舞台劇を見るような感覚で、読めます。

 ちょっと人生にハグれた、立ち止まって考えたいと思ったときにオススメしたい作品です。心が澄むような気がします。

 

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今回の8巻は特に、じわわときます。 「春には居なくなるかな」と語るライカさんと、よく似た千夜子さんの関係が明らかになります。

「巻き込まれ型」の探偵役

 主人公が、ユニークです。「解読解決青年」と帯に書かれていますが、久能 整(くのう・ととのう)くん、大学生です。天然パーマで、髪の毛はふわっとしてます。教員志望です。 本人は望んでないのに、よく事件に出くわします。典型的な「巻き込まれ型」の探偵役です。

 殺人犯に間違われたり、バスジャックに居合わせたり、爆弾魔や居直り強盗に出くわしたり。彼の行くところ、事件あり、です。「犯罪を嗅ぎとるアンテナでも付いてるのか?」と、知り合いの刑事さんに言われるほどです。

 別巻で「友人も恋人もいない」と本人は語ってますが、最近は別件の主謀者ガロくん(逃亡中)と病院で出会ったライカさん(8巻でデイト中!)が気になっているようです。

 

美術館での奇妙な事件

 

 8巻で、ライカさんと整くんは美術館にいき、そこでもまた奇妙な事件に巻き込まれます。

マスクとサングラスの怪しい集団から不思議なキイワードの上の句を問いかけられ、

その下の句を言え、と迫られます。

 正解しないと、身の安全も危ういと判断した整くんは、ライカさんの安全をはかりつつ、

時間稼ぎをし、必死に考え、ようやく一つの答えに辿り着きます。

そして事件は意外な結末に、、。

 

二人のカミングアウト

まあ、ここまでも充分、犯人グループと整くん+ライカさんペアの面白いやりとりがあるのですが、実は、8巻で描かれる物語の最高潮は、そのあと。事件解決のシーンではありません。

 整くんは、他の巻でも、事件解決の前か直後に罪を犯した人への深い洞察力を示し、事件を共有した相手(今回はライカさん)にも思いやりを見せます。

 そこが、もしかすると、作者がこの作品を「ミステリと呼ばないで」と名乗る理由かな、と推察しています。 犯人逮捕や事件解決が必ずしも目標ではない、ようですから。

 

さて今回も、整くんは事件後、ライカさんと足湯(ライカさんが入院してる病院内にある)に浸かりながら、美術館での出来事を振り返ります。

 その中で、二人は自分が育った家庭や父親と母親のことをカミングアウトして、、、。

 彼らの抱える「根深い闇」が判明します。

 ライカさんは、レプリカ? 整くんのお母さんは、感情が平坦だった?

 泣けます。

 

終わりに

「ミステリと言う勿れ」には、印象的なセリフを抜粋して、かるたの文字札のように並べてあるページがあるのが、特徴的です。

 この文字を読むだけでも、物語の余情余韻に浸ることができます。

 アナログな読者(私)としては、それだけで好きな時に、好きなページに飛べます。

紙媒体=コミックス本ならではの至福のひとときです。

 

「されたように そだつからな」

「しらないものは みえないんだな」

「なきそうになった じゃないですか」

※一部抜粋。上記の字切りなどはコミックス掲載時と異なります。

 

じわわ、ときます。

 なお。

イカさんのような存在について興味ある方はノンフィクション「24人のビリー・ミリガン」(ダニエル・キイス、ハヤカワ書房)も、個人的にはオススメします。 

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8巻で収録されているのは、もう1エピソード、導入部分が入っています。事件とは思えない、不思議な始まりです。

 「双子を見分けて欲しい」という依頼にとまどいながら、また整くんは巻き込まれていきます。このあと、目の前で起きている事実の、裏側にある「本質」を探りあてていきます。

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「ミステリと言う勿れ」8巻 作/田村由美 小学館 Flower comics α 定価499円(10%税込)