雨の日の過ごし方って(今週のお題に乗り遅れました)考えちゃいますよね。とくに子どもが幼いときは、雨の日になると連れて行く場所もなくて困っていました。
むかーし昔のお話です。ある雨の週末、夫と子ども2人は室内で退屈しきっていました。当時、保育園児と小学生だった2人は、手にした万歩計を使って「室内で、歩数を稼ぐのはどっちだ?」競争をやったりして、ドスドスと床を踏み鳴らしていました。そのため、階下の住人から、クレームがきたばかりです。
ちょうどその日は選挙投票日。私たちは、散歩がてら、2人の子どもを連れて投票所に行くことを決めました。そこで・・・母親である私が、あらぬ罪に問われて、警察に行く羽目になりました。
雨の日にとんでもハップンな?過ごし方しちゃったよ、バナシです。
▶︎投票所での、出会い◀︎
投票所である小学校は、自宅から、子どもの足でも10分ほどのところにあります。
道すがら、子どもたちはたまの長靴も面白いようで、水たまりにびしゃびしゃつかって、なかなかゴキゲンでした。雨水の跳ね返りが他の人にかからないよう注意しながら(自分が引き受けて)歩いていきました。
まもなく、小学校に着き、すぐに投票も終わり、出入り口に置いた傘を手に取って、会場を出ようとしたときです。「それは、俺のだ!」といきなり、見知らぬおじいさんが怒鳴りました。とても不機嫌な様子で、私の手にあったビニール傘をひったくるようにして持ち、また大声で叫びました。
「ドロボーだ、こいつは傘ドロボーだ。俺の傘を盗んだ!」
私は、一瞬、ひるみましたが、すぐに気を取り直して「え、あ、すみません! わざとじゃないです!」と、これまた大声で答えました。
子ども2人は怯えて、父親の方にすり寄っていました。
「ドロボーが、何を言うか!」と、またおじいさんは怒鳴ります。
「(傘は)返したでしょ! ドロボーじゃないよ!」と、私も応酬しました。
「ダメだ。警察に言うぞ! 謝れ!」と、さらにおじいさんは言います。
だんだんムッとしてきた私が黙っていると、脇にいた夫も参戦。
「もう、傘はお手元にあるじゃないですか。間違えただけですよ。勘弁してください」と言うと、
「あんたは関係ないだろ。俺は、警察に行くぞ!」とまだおじいさんは言います。
その瞬間、私は、プチッと切れました。
「子どもの前で、ドロボー呼ばわりされて、失礼でしょ! 警察に行くよ!」
夫も、なぜかすぐに同意して「よし、行くぞ!」となりました。
子どもたちも、傘さして、同行することになりました。
最寄りの警察署は、さらに歩いて15分くらいのところにあります。
その道中も、おじいさんと私(+夫も少々)は、大声で口論し続けていました。
「お前が悪いんだ!」「なんですって! 失礼でしょ!」
「やめてください、静かにしましょう」「うるさい!」
・・・・・・etc etc。
路上で、歩きながら、口論している、大人が3人。子ども2人。
傘ごしにしゃべっているから、まだ周囲に響き合わなかったようにも思いますが、
はたから見たら、本当に変な一行です。
子どもたちは、不思議と、黙ってついてきていました。
警察書に着くと、一階の総合受付みたいなところには一人、男性が立っていました。警官の方みたいでした。
「どうされましたか?」
淡々と聞かれました。自分個人の興味や関心で聞いてるんじゃないよって、相手に感じさせる声でした。そう、仕事ですもんね。
「はい、この人が私のことをドロボーだと言うので、来ました」と答えると、
「ちょっと待ってください」と言い、どこかに内線電話をして誰かを呼びました。
まもなく、シャツにコッパンという感じの30代くらいの男性(刑事さん?)が走ってきました。 「もう、傘はご自分のものなんですね」とおじいさんに確認し、どこかに案内をしていました。私たち4人はしばらく警察署の入り口で待っていましたが、やがて部屋に案内されました。
そこは、取調べ室でした。
そこには、机1、デスクスタンド1、イス二脚があり、脇の壁には長方形の大きな特殊ガラスがはめ込まれていました。そこは「透かし窓」だと、容易に判断できました。
映画やドラマでよく見るように、そのガラスは、取調べ室の側から覗きこんでも(実際、やってみました)、何も見えません。隣の部屋から素通しで見えるのだとしたら、そこに誰かがいたとしたら、取調べ室からジロジロ覗き込む私たちに、びっくりしたかもしれません。いや、呆れたかな。
本来、そっち側は、取調べ室の事情聴取の様子を見るとか、容疑者の面通しをするとか、事情聴取に立ち会う刑事以外のメンバーが容疑者を覗き込む場所であって、見ることに慣れていても、覗き込まれるようなことにはまったく慣れていないでしょうから。
30分くらいして、先ほどのコッパン刑事さんが戻ってきました。
「おじいさんは、帰りましたから。少し、間を置いて、お帰りください。そうすれば、跡をつけられる心配もないでしょう」とアドバイスしてくれました。
警察署の一階まで付き添ってくれて、「もう来ないように」と笑って送り出してくれました。
窃盗でもなく、名誉毀損でもないということらしかったです。
帰る頃はもう夕方近くなっていました。
子どもたちが「歩くのもうやだー」というのをなだめながら、コンビニに寄ってお菓子を買いました。
長〜い日曜日の午後でした。
file 25「散歩」in the rain
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