▶︎昼行燈(ひるあんどん)のウラの顔との落差がイイ◀︎
ドラマ「窓際太郎の事件簿」は、主役が55歳、独身の、一見冴えない(失礼! 演じるは小林稔侍さん)おじさんだけど、実はキレもの税務調査官という、意外性でヒットした作品です(※今は、BS -TBSあるいは一部動画配信サービスで放送中。全35作)。
タイトルは窓際だけど、苗字は窓辺さん。窓辺さんは、初対面の人にしょっちゅう「窓際さん?」と呼ばれて、いちいち説明します。もとは東京国税局のスゴ腕税務官だったのが、ある脱税事件の失敗(部下死亡)でヒラ署員に大左遷。でも密かに、そのスゴ腕ぶりをかってくれた東京国税局の査察部長の”隠密指令”で、あちこち研修という名でmission解決にいそしみます。毎回、あちこち出張っては、政治とお金(税金)絡みっぽい事件を解決してくれます。
前半はコメディタッチなので、視聴者は、へらへら見て笑っていられます。最後はなんとかしてくれるんだよねって感じで、お茶飲んでもいられます。テレビなら、CMも入るから、お茶ウケの「お菓子も食べよーかなー」的なゆとりもあります。安心感があります。
主人公が、昼行燈っていうか、まあ「忠臣蔵」の〝大内内蔵之介”ふうです。ウラの顔が真逆なので、視聴者はギャップ萌えです。(たぶん、私みたいな、おばちゃん視聴者が多いんだろーと推定しております)。例えは、”時代劇ふう”にいってみます、、、
視聴したのは、事件簿16。窓辺さん、世田谷南署(税務署)から名古屋に出張。あちこちよく出かけています。ご当地名物、食事などもいろいろ出てきます。名古屋は、味噌煮込みうどんだったかな。しるこサンドは、出てきてないです。
主人公のおっさん(失礼)が毎回、終盤に、折り目正しいスーツと山高帽できりりとキメて、悪人あるいは〝悪代官”の事務所に現れ、ずんずん敵地の本丸まで押し入って、査察状をピラっと広げて相手に叩きつける姿は、まるで〝葵の紋のご印籠”を一人で掲げる、”黄門さま”でした〜!!
(現場に、”スケさんカクさん”的な側近はいないけど、いつもbackupしてくれる女性の味方が一人二人と現れます。)
▶︎よっ、待ってました!的展開、ラスト清涼感あり◀︎
世田谷南署の上司役、渡辺いっけいさんがまた面白い。東京国税局査察部長の北村聡一郎さんもまた、少しダンディさ入ってますが、ちょいトボケた味もあって存在感があります。部長の娘の役柄も、ダサかわいくて面白い。
そうそう、税金モンダイにより悪者を懲らしめるっていうのは、アメリカなら、マフィアの首領アル・カポネを、脱税容疑で追い込んだ税務官エリオット・ロスって存在もあるくらいです。窓際さんの活躍は、アンタッチャブルな訳です。
エリオット・ロスは、窓辺さんより、だいぶすらっとした俳優さんが演じてますが。
(映画「アンタッチャブル」も、オススメです。どこかの動画配信サービスに入っているんじゃないかな)
▶︎おじさん愛づる気分で◀︎
おじさん主人公を愛でる(笑)文化というのは、その後、「三匹のおっさん」(小説は有川浩さん作品、ドラマは北大路欣也さん、泉谷しげるさん、志賀廣太郎さん主演、テレビ東京系列)へと、系譜がつながります。
父でも兄でもなく、伯父さんか叔父さん、あるいはおじいちゃん、近所のおっさんという存在は、きっと、おばちゃん視聴者にとって、距離感がちょうどいいんじゃないでしょうか。けむったくなくて、ちょっと親しめて、恋でも憧れでもないけど、見てて「おっ、やるじゃん。言うじゃん。拍手パチパチ」と素直に思える相手。
もしかすると、今年の大河ドラマで「こんばんは」と言って出てくる時代の語り部おっさん、幕府の創始者に感じる気分も、共通してる気がします。
ひとつのドラマで、次々、連想ゲーム的な行ったり来たり。そーゆーのも、テレビドラマの醍醐味かな!