元編集者のナゾとき☆日記

ミステリー系のTVドラマ・映画・漫画の感想や生活実感コラムをつれづれなるまま書きます。

ドラマ「シグナル」〜韓国版〜

 本家versionを覗き見!

4月2日から日本で公開中の映画「劇場版シグナル」は、連続ドラマ「シグナル 長期未解決事件捜査班」の名で、テレビ放送されていました(全10話、フジテレビ系列※1)。が、なんといっても、本家本元は韓国のドラマ(日本での映画は、オリジナルストーリー)。日本版も十分面白いけど、ここはやっぱりルーツ(源流)をたどりたい。

というわけで、さっそく、韓国版を5話まで見ました!(動画配信サービス利用中 ※2)

                              

韓流ドラマに一種の苦手意識があるヒトでも、このドラマならイケる!と思います。おススメです。唐突な展開癖みたいなものは(やっぱり)多少あるし、時系列が目まぐるしく入ってくるのですが、字幕で「年月日」の案内が入っています。まあ、このドラマの設定なら仕方ない‥かな。

 

はい、このドラマのユニークな設定は「繋がるはずのない無線機が、過去と現在の刑事を結び、事件を解決に導く」です。刑事たちの捜査によって、過去から変わる可能性もあり、そのたびに物語も動く仕組みなので、終始ハラハラとドキドキが続きます。

日本版も同様の設定なのですが、韓国版の方が「ヒトの想い」の描き方がきめ細やか。作品に込められたメッセージの熱量が、めちゃ高いし、密度が濃い印象を受けます。

 

それは、韓国版の1話ごとの時間が、日本版より、毎回20分近く長いのも影響しているかもしれません。韓国版は、第一話77分で、第二話以降は65〜68分。日本版は、第一話57分、第二話以降46〜47分となっています。

 

 

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原作;(c)JTBC Co.,Ltd all rights reserved

(↑韓国ドラマの俳優は左から順に、イ刑事/チェ・ジヌさん、パク刑事/イ・ジェフンさん、チャ刑事/キム・ヘスさん)

 (↑日本版では、大山巡査部長/北山一輝さん、三枝警部補/坂口健太郎さん、桜井警部/吉瀬美智子さん)

 

●BOOK Review「劇場版シグナル 長期未解決事件捜査班」 はこちら

 

oshi-mystery.hatenablog.com

 

魅力1・ギャップ萌え

作品の雰囲気は、SFファンタジー色を加えた感じの、刑事ドラマ。

無線機の交信によって、過去の刑事1人と現在の刑事2人は、時空を超えた「相棒」となります。同時に、孤立していた若手刑事が、次第に同じチームのメンバーにも打ち解け、2人の先輩刑事の協力を得て、プロファイラーとして、また人間としても成長していきます。

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韓国版には、明るさと暗さのコントラストが常にあります。

パク刑事は、最初の無線機での交信時に「これは幻聴か?」と、自分の頬をビンタして、驚きをコミカルに表現します。その一方で、過去に自分の兄が暴行事件の犯人にされ、苦悩したシリアスさを併せ持っています。演技に、明るさがあるから、暗さがきちんと際立ちます。

イ刑事は、走り方と仕事っぷりに、コミカルとシリアスの落差があります。

チャ刑事は、新人当時の過去とチームリーダーかつ警部になった現在で、仕事ぶりや周囲への態度に著しい違いがあります。

それらのギャップに萌える、という楽しみ方ができます。

(日本版より、強調されている感じがします)

 

 魅力2・「泣き」が違う

 韓国には「泣き女」という仕事もあると聞きます。葬式で「おおいに泣くことは、死者への敬意の表れであり、必要なこと」なので、「泣き女」を雇うこともある、とか。泣くということに関して、韓国の方が肯定的な感じがします。

日本では、ややもすると、我慢した方がいい、隠した方がいいみたいな風潮もありますよね(個人の見解です)。

 

韓国版では、泣き方もストレートで、日本のように「さめざめと泣く」とか「ぴえん」ではありません。

 

1話2話の「被害者の母親」の泣き方、嘆き方が、日本版とは異なります。

娘を誘拐し殺した真犯人を見つけて欲しいと願い、長年、街頭に立ち続け、白髪まじりになってしまった母親が、時効直前に、警察署内に押しかけています。

韓国版では、その女性の姿をピンで映し出したりもします。警官(チャ刑事)に食ってかかったり、容疑者に罵声を浴びせたりもします。「警察ば罰してくれないなら、私がやる」「娘に顔向けできない」と泣きくずれる姿に、廊下に居並ぶたくさんの警官が、無言ながら共感の姿勢を示しているようにも見えます。

そこには、犯人逮捕を待ち望んでいた母親の慟哭(どうこく)、魂の叫びがあります。

 

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もしかすると、韓国の家族関係は、日本より、近距離で濃密なのかなと思います。。

見ていると、母娘関係は、日本の「友だち親子」より親密な「一卵性親子」的なニュアンスがあります。登場する父子家庭でもまた、一人息子への異常な共依存(=おれがいないとダメなんだ、この子には申し訳ないことをした的な思い込み)で、人生を狂わせていく父親の姿があります。

とても情緒的なドラマ、今は「エモい」と表現するのかな。エモーショナルなドラマです。


魅力3・テーマは「未来への期待」

刑事たちは、よりよい未来になるためにと努力しますが、ヒトが未来を変えようというのは、ある意味、「傲慢な」仕業といえます。

事件解決のヒントを知る現在の刑事が、無線機を通して、過去の刑事に伝えれば、犯罪の予防ができるのか。

ドラマが問いかけてくるテーマのひとつには、「神の手」ゴールみたいな、完璧な犯罪予防が可能なのか、です。

 

こういう遠大なテーマを持った韓国ドラマというのを、私は見たことがなくて、それもこの「シグナル」の魅力の一つだと思います。

 

でも・・見たエピソード5話の中でも、変わる現実と、変わらない現実がありました。

被害者が減らせたかと思ったら、別の犯罪を生んでしまったというケースもあります。救えた命もあったけれど、救えなかった命もあります。

 

それでも、刑事3人は諦めてませんねー。

 諦めることなく、一刻はメゲて座り込んでもまた立ち上がれるように、きちんと前向けよ、みたいな感じです。

 

韓国版を見ていると、特にイ刑事がどんどんイケメンに見えてきます。画面にチラリ映った彼の履歴書(パク刑事が同姓同名の刑事を調べてます。日本版には、そういうシーン無かったと思う)に、在籍が1989〜2001年って書いてあったような、、、

約12年居て、そのあと失踪ってことなのかな、

もしかするとこの約12年というのは11ヶ月と23日間で、無線機がつながる時刻である午後 11:23と関係あるのかな、、、、などと、見果てぬ?妄想をしているところです。

 

ではまた〜。

 

 

※1 /2021年4月現在、ドラマ「シグナル 長期未解決事件捜査班」はFODなどの動画配信サービスで視聴可能。4月16日までなら、TVerなどで無料視聴が可能らしいです。

※2/Amazon primeでも、韓国版「シグナル」シーズン1は視聴可能。