元編集者のナゾとき☆日記

ミステリー系のTVドラマ・映画・漫画の感想や生活実感コラムをつれづれなるまま書きます。

「刑事モース」case4.密謀のロンド(※1)

【推し! ミステリ】第四回

1960年代の英国を、覗く!

〜ヒトは、時代と無関係ではいられない〜

 

case3はこちら

oshi-mystery.hatenablog.com

 

「刑事モース」シリーズは、「主任警部モース」

という作品の‘出世前の物語’ですが、今では

その本家をしのぐ人気とか。

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© Mammoth Screen Ltd 2012 All Rights Reserved. Licensed by ITV Studios Ltd.(BS11より)



 

 

1960年代半ばのオックスフォードが舞台、

という設定も、人気の原因のひとつと思う。

 

主任警部モースの時代との接点を考えて選んだ

という噂もあるが、まあ、きっとこの時代あたりが

撮影用に用意できる車やファッションも、ウケそうって

計算が働いたんじゃないかと・・

もと編集者的には深読み(笑)。

 

日本の同時期でいうと、昭和35年くらいの設定

になるが、木と紙の国「日本」では

ロケ地探しも難しいけど、

彼の国イギリスにはたくさん残ってるんですねー。

 

今回は、そんなドラマの「背景」から、

物語を楽しもう、のス・ス・メ!

 

時代や場所は、物語の土台

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映像は、ロケ地として魅力的な

オックスフォードなので、重厚感たっぷり。

尖塔の多い、ゴシック形式の建築物が

雰囲気盛り上げてます。

撮影で使う車は、今でいう、クラシックカー

(サーズディ警部補の公用車は、ジャガーとか)

ヴィンテージ感あります。

 

登場人物たちも、毎回のように、

サー(卿)が付くような上流階級と中産階級

対比は、根強く残る男女の格差も。

 

女性の描かれ方がシビアです。

 

パワハラやセクハラなんて言葉もなさげ。

 

今回のcase4も、

その格差社会っぷりが、犯人探しのヒントです。

 

主人公の捜査方法も、

時代設定とマッチしてると言えそう。

モースの推理は、科学的とは言い難いですから。

(解剖医や鑑識から、死亡推定時刻と

殺害方法の特定は、よく細かく聞き出すけれど)

 

「仮説を立てて、論証・検証する」が得意です。

 

まあ、だからよく仮説の軌道修正を、

脳内でやってる感じではあります。

 

人間の深層心理には

迫ってる感がありますけどね。

 

女性の生き方、要チェック!

 

物語は、国家を挙げて重要な商談の日から。

(アラブの皇太子がイギリスに来て、

ミサイル30機以上を買い付け予定ときた…)

 

とある軍需産業の工場内で、

男性の死体が発見されるという事件が、勃発!

 

その日はちょうど、

アラブやイギリス王室の関係者が来訪中。

オックスフォード市警のメンツは、ほぼ総出で

警備担当していたというのに。

 

署長は、この件でお偉いさんに叱られたようで

署員に、八つ当たり。ついで「早く犯人つかまえろ」

プレッシャーかけまくり。

 

第二の変死体が、第一の殺人の

有力な容疑者のものと分かった瞬間、

「そいつが殺害を苦にして死んだんだ」と断定して、

「捜査は中止しろ」とまで。

 

まるで、パワハラですな。

 

まもなく、同じ工場で第二の変死体が発見され……。

 

第一の殺人事件は、

被害者の過去が明らかになり、

12年前に起きた女性殺人事件との関連が

疑われます。

その背景には、

工場の経営者一族の黒歴史?がありました。

 

このcase4で、注目したい女性が3人います。

 

毒舌家の社長夫人(社長と別居中、大株主)、

クールに中産階級を眺め、対応するその娘、

モースと大学同期でありながら

仕事にも恋にも屈折した思いをかかえる社長秘書。

 

女性の生き方、考えさせられますよ。

 

社長秘書であるアリスからは、

モースの学生時代の姿も語られます。

大学院まで進学したのに、思うような仕事につけない

ということも、嘆きます。

モースに、少しだけ幸せな瞬間も訪れます。

 

あー。でも。

 

最後の最後に。

モースが、真犯人を出し抜いたので、ほっ。

モースに、サーズディ警部補が

「メシでも食うか?」と誘ってくれて、

毎度お馴染みのサンドイッチに関するジョークが出て、

笑顔でしめくくり。

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よかったよかった、のエピローグです。

 

 

 NEXT:case5

oshi-mystery.hatenablog.com

 

※1 原題 rocket
 「刑事モース」シリーズが英国でテレビ放映されたのは、2012年のテスト版から。すでに「シーズン7(各4〜6本のエピソードで1シーズンの括り)」まで、合計30本以上が制作・公開済み。
日本では、過去にWOWOWNHK  BSプレミアムが一部を放送し、現在(2021年3月)はAmazonプレミアムで「シリーズ1(case9まで)」、U-NEXTで「シリーズ3(case 10以降?」を扱っています。
 
このブログでは、Amazonプレミアムでの区分と邦題で記載しています。
各メディアによって邦題や「シリーズ」区分が異なる可能性があります。
視聴する前に確認を。