元編集者のナゾとき☆日記

ミステリー系のTVドラマ・映画・漫画の感想や生活実感コラムをつれづれなるまま書きます。

「刑事モース」case7.顔のない少女(※1)

【推し!ミステリ】その7.思春期の危うさが、キイワード!

多感で複雑な10代に、飛んだ気分で

 

 case6はこちら

 

oshi-mystery.hatenablog.com

 

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  © Mammoth Screen Ltd 2012 All Rights Reserved. Licensed by ITV Studios Ltd.(BS11より)

 

 

モースが新米刑事だった時代は、1960年代の後半。

 

case7は、1966年7月のイギリスでの出来事です。

学生の多くが家族と楽しい長期休暇をすごし、

大人の多くはW杯でイングランドチームの活躍に

歓声を上げていたころ、

(モースは全くサッカーに興味なしです。(笑)

 

100年前の未解決事件に関連して、

新たに2つの殺人事件が起き、それが

モースを、文字通り、走らせます。

         ✳︎ 

 ドラマ全体の雰囲気づくりに

ショパンの「ノクターン夜想曲)」が使われています。

 映像も、夜っぽく、黒っぽいシーンが多いです。

 黒がキイワードです。

 

少女時代って、複雑?

 

case7のプロローグは、100年前の7月に、

オックスフォード郊外にある邸宅(ブライトン邸)で

起きた事件のあらましを、淡々と見せていきます。

 

子ども3人、大人2人が

クロケットで使うマレット(木槌)で

撲殺された事件は、未解決のまま。

容疑者と思われた男は自殺してしまったし、

ブライトン邸の主人と生き残った娘一人も

やがて亡くなり、一族は絶えたとされています。

 

邸宅は、今は女子の寄宿制の学校になっていました。

 

(↑木槌というアイテムにも、注目!

このcase 7では、イギリスが誇る作家、

ルイスキャロルの「不思議の国のアリス」に

登場するアイテムや言葉が、いろいろ暗示的に

使われてます。

木槌は、アリスがハートの女王に誘われてやる

クロケットというゲームの道具で)

 

さて。

 

本編に入ると、すぐ

博物館で、第一の殺人事件が起きます。

殺害現場には、館が所蔵するインドの宝剣が

落ちていました。

宝剣は、鑑識の結果、凶器ではなかったけれど、

100年前の未解決事件の当主が寄贈した品物で・・・

 

 その殺人事件と同一時刻に博物館にいた

団体客は、寄宿制の学校の生徒7人と先生1人で、

その学校は、例のブライトン邸・・・・・

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単なる偶然とは思えないモースは、

寄宿舎の7人の生徒たちに、聞き込みをします。

 

ふだん、女性だらけの環境で暮らす

(生徒400人、先生や職員40人、全部女性とか!)

女の子たちにとって、若い男性は、物珍しい。

確か、管理人のとこのマッチョ息子はいるけど、

「王子様」にはほど遠い感じだし、

同じ無愛想でも(刑事というより)知的な先生って

雰囲気のモースのほうが、チャーミングでしょ! 

 

例えるなら、女子校に来た若い教育実習生の男性って

感じです。女の子たちの中には、結構、ぐいぐい、

モースにくる子もいます。10代前半ですが。

(モースは、ぐいぐいくる派は苦手みたいです)

 

逆に、自分と似たような、ぐいぐい来ない、

孤立してて知的で静かに周囲を観察する、思考型の

女の子の言葉に、ちょっと「おっ」と驚いてます。

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「7月だというのにコートを着ている」モースに

対して、すばやく「雨次第だ」云々って、

「アリス」の中のセリフで答える少女、バンティ。

 

彼女と、その仲良しの女の子たちが、後半の

キイパーソンです。

 

「少女」って、文字通りに読むと「女が少ない」です。

どんなに幼く見えても、女性は女性なんですね。

男という言葉に対して、

未成年な男性を「少年」って言うのとは違う。

 

case7に登場する少女たちが、モースに見せる態度は

基本的にはウエルカムだけど、そう言いたくないような、

虚勢はったりもする、意地っ張りな感じ。

でも、夏休みに家族とすごせない寂しさもあり、

(母がいなくて父は仕事に忙しいとか、訳あり)

やむなく寄宿舎に放置されてる感じです。

 

一緒にいる女の子の中には、派閥もあり、

意地悪、やっかみ、対立、中傷など、

成人女性を取り囲む社会の状況と同じものが

10代前半の少女たちの周囲には、あるんですね。

 

ホラーな味つけも、たっぷり

 

寄宿舎になったブライトン邸は、

昔の面影を残す部屋も残っていて、

30代の女性教師は「どこからか、視線を感じる」

ともいうし、夜だけでなく、昼間も

一種の不気味さが邸内全体に漂っています。

 

モースも、邸内を捜索するうちに、

顔のない少女に遭遇してしまいます!

その姿を追いかけるうち、床が抜けて階下に落下し、

またも、けがをしてしまいます。

(case6では銃撃されたし、モースは散々です。。)

 

顔のない少女のファッションは、100年前の

ビクトリア朝の装いで・・

ゴシック・ホラー的な要素もたっぷり。


生徒がまたひとり、行方不明になり、

そしてついに、第二の殺人事件が起こります!

 

第二の殺人事件は、モースやサーズディといった

正統「正義」派だけでなく、

忖度おやじのブライト警視やクールな鑑識医まで、

心底から、犯人の残虐性を憎みます。

「犯人は、他の誰でもない、きみが捕まえろ」とまで

怒りを目にたたえた鑑識医から言われるほどです。

 

ある夜、バンティからモースに

緊急電話がかかってきて、、、

 

モースは、走ります!!

                *

くらーい因縁話の決着がついたとき、

バンティとモースとの交流は、心温まるものがあります。

 

10代って、こんなだったっけ?

と、気持ちは飛んで見ましょう!!

 

でもって。

ラストのラスト、またもや意味深な映像が・・。

ブライトン家の当主に代々伝わる指輪、

そのなかには、ある秘密結社のマークがあり、

その指輪は、また証拠物件の場所から

誰かの手によって、移されていく・・・

 

またもや、思わせぶりが、続きます!

 

 

next:case8はこちら

 

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※1 原題 nocturne(ノクターン
「刑事モース」シリーズが英国でテレビ放映されたのは、2012年のテスト版から。すでに「シーズン7(各4〜6本のエピソードで1シーズン括り)」まで、合計30本以上が制作・公開済み。最近では、シーズン8が制作されるというニュースも。
日本では、過去にWOWOWNHK  BSプレミアムが一部を放送し(放送終了、再放送の予定は未定)、現在(2021年3月)はAmazonのprime  videoで「シリーズ1(case9まで)」が配信されています。
他でも、FODやU-NEXTなどで「シリーズ3(case 10以降)」を扱っているようです。
FODやU-NEXTは、無料視聴期間や有料になった時の料金などが異なるため、事前に確認してみてね。
 
このブログでは、Amazonの primevideoの区分と邦題で記載しています。
各メディアによって、邦題や「シリーズ」区分が異なることがあります。
視聴する前に必ず確認を。