元編集者のナゾとき☆日記

ミステリー系のTVドラマ・映画・漫画の感想や生活実感コラムをつれづれなるまま書きます。

「刑事モース」case8.情事のスケルツォ(※1)

【推し!ミステリ】第8回 

恋愛事情を、推理・推測!

〜ビビビッてきたら、即アプローチ?〜
 

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 © Mammoth Screen Ltd 2012 All Rights Reserved. Licensed by ITV Studios Ltd.(BS11より)
 
 
case8は、「刑事モース」のシーズン1
Amazon prime videoの分類による)のなかで、
最もロマンス色が強い! case1に匹敵するほど、
切ない恋が描かれてます。
 
case 8の殺人件数は、他のcaseよりも多いのですが、
(case1〜7まで、毎回3件程度の事件が起きる)
case 8最後の死は、それまでの死を上回る
印象の強さで、涙誘われそうになります。ううっ。
  
「望むのは、新しい恋より、忘れられない昔の恋」
(↑ドラマの中で、ある男性が語る言葉)
 
なーんて言葉に惹かれる、30代40代以降の方なら、
「刑事モース」case1のあと、このcase8に直行、
というコースが、特におすすめ!
 
今回は、case 8の内容だけでなく、
今までの事件も少し振り返って、
ミステリの中のロマンス部分を俯瞰してみます!
 
気になる相手は、すぐちょっかい出すんですねー。
意外と、amour(恋愛重視)系なんですかね。
 
直近の事件・ case7はこちら:

 

oshi-mystery.hatenablog.com

 

 
※「刑事モース」シリーズの見方のご案内。↓
まずcase 1は必見ですが、そのあとはcase2〜8まで、
順繰りに見なくても、大丈夫です。
但しcase 9は、1〜9の選択範囲なら、絶対にラストで。
 
・基本の対人関係は、
モース(画像中央)⇆理解ある上司サーズディ(右端)、
やや対立関係の上司、ブライト警視(右奥、メガネ男)、
やや対立の先輩、ジェイクス巡査部長(左、手に煙草)
だけ把握できると、見やすいかもです。
あとはサーズデイの家族くらい。
・モースの恋愛感情系の変遷でいくと、
case 1〜4は1話限り(学生時代の失恋を引きずってる)
case6〜9は同一人物(他にも気になる相手はいるけど)
 

 絹の靴下に、ご用心! 

今回のcase 8は、スタート時からすでに
女性の絞殺死体が連続して発見されている状況です。
凶器は、黒のストッキング。
 

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片足ずつスルスルっと履くタイプで(セクシーな感じで)、
素材はシルク。価格は約12ポンド(何千円もする感じ)。
デパートでしか売ってないような高級品。
凶器に使われる理由を探ると、犯人に結びつく。
そのストッキングの卸売業者は、女好きで、
ちょっとイケすかないキザ男。セクハラ発言も多い。
(↑以上、カッコ内以外は、刑事モース調べ)
 
そのストッキングといえば、
「戦後、強くなった2大アイテム(女性と靴下)」とか、
同時代の日本(昭和36年ごろ)では言われていた
ようですが、イギリスでは、どうでしょうか?
 
 当時の女性って、、、
 ・case4で、モースと大学同期のアリスは、
「大学院まで進学しても、希望の仕事には
なかなかつけない」と言ってます。
・case6で、ミスコン反対派の大学生キティは、
「女は苦労して名門大学を出ても評価されない」と。
 
一方、男性は。。。。
 ・case1に登場した大学同期のアレックスは、
「パートナー選びは仕事(昇進?)に影響する」と。
学長までの階段を登りたいという上昇志向が
強い人なので、結婚も上昇の道具のようです。
 ・同じcase 1の大学教授 兼 パズル作家などは、
「マイフェアレディ」のヒギンズ教授を気取って
若い子にアプローチした挙句、その子と不適切な関係に。
夫人に気づかれていましたが、教授はそれに気づかず。
 
「刑事モース」の世界では、しばしば、
既婚の男性の方が、紳士の仮面の下に肉食系の顔を持ち、
ひそかに若い子との、恋愛情事を楽しんでるような??
 
一方の女性は、父親や夫に従っているように見えて
実は心に隙間があり、別に寄りかかる相手が欲しい、、、
恋愛枯渇症みたいになる人も。
 
もし、これでも「女性が強くなった」のだとしたら
「昔と比べると」くらいの、限定条件つき比較評価かな。
 
1966年も、男性優位の時代のようです。
 
英単語だって「歴史」=history=his story(彼の物語)
であって、her  story(彼女の物語)じゃないもんねえ。
…………………
 モースの世界に戻ります。

男と女のすれ違い

絞殺された女性は全員、既婚なのに、

結婚指輪を外されていました。どうやら

夫人たちは不倫していたようです。

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一方、モースは、凶器の黒のストッキングの聞き込みを

デパートで続けるうち、売り場主任のルイザが、昔、

戦時中のイタリアでサーズディ警部補(当時軍曹)の

同志?恋人?だったことに、気づきます。

 

サーズディとの再会に、彼女は失神!

お互いに、忘れられない相手だったんですね。

 

それからというもの、

警部補は仕事でも自宅でも、ちょっと上の空。

倉庫から、昔の写真を引っ張り出して、

夜中に「これから張り込みだ」と嘘ついて

彼女の自宅に行っちゃう。

 お互い、敵襲で生き別れた日のことを話すだけ

なんだけど・・・

 

ルイザの自宅内には、

見慣れぬ軍人の写真(彼女の夫、故人)や

フランスのタバコの吸殻が灰皿に残っています。

 

写真は、故人だけど、

吸殻は、生きている他の誰かの痕跡。

 

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サーズディは、彼女にも、もう他の誰かがいて、

引き返せないんだ・・・みたいに感じたのかも。

最後まで、彼女にキスは・・・・。

 

ちなみに。

吸殻は、フランスの紙巻タバコ「ゴロワーズ」です。

この商品名は「あけすけ」「好色な」という意味もあり、

ジャン・ギャバンアラン・ドロンが映画で吸っていました。

(アランドロンは、ゴロワーズよりジタンの方が多い)

このドラマでは、好色な男の象徴になっています。

 

ルイザは、最後に生き別れた日の真相を手紙に書いて

サーズディに悲しい別れを告げます。

 

そして、犯人は、意外な人物でした!

このcase8は、珍しく、4件目の殺害現場が分かるので、

犯人の顔もうっすら分かりますよ!

 

おわりに

 

サーズディが忘れ得ぬ恋に悶々としているころ、

モースは、久しぶりに?心安らぐ相手を見つけています。 

モースの笑顔が、久しぶりに見られます。

 

サーズディの娘のジョアンに好意を持たれている

(モースも気になっている)ようですが、

モースは、2人の距離感を縮めようとはしません。

ジェイクス巡査部長には「ジョアンと付き合うなら、

遊びはやめた方がいい」とか、忠告するくせにねぇ。

(case5で、2人のデート現場にモースが遭遇)

 

モースも、上司の娘はやめとこって

思っているのかもしれませんね。

あるいは、自分の気持ちに気付いていない??

 

さて、次のcase9では、

case8で悲惨な目にあう吃音の青年が

かつて生活していたという矯正施設

ブレイブ・フェイルという名が、

クローズアップされますので、ご用心!

 

「刑事モース」は、次の事件への

プレ・プレリュード的な暗示を入れてきます。

 

視聴者をカクランする仕掛けも、

いつもふんだんにあり、ときどき幻惑されます。

 今回case8で言うと、あの調律師のことかも。

ドアストッパーみたいな、調律用品にも注目して。

 

 長くなりました。ではまたー!

 
 
※1 原題 sway(揺れる)
「刑事モース」シリーズが英国でテレビ放映されたのは、2012年のテスト版から。すでに「シーズン7(各4〜6本のエピソードで1シーズン括り)」まで、合計30本以上が制作・公開済み。最近では、シーズン8が制作されるというニュースも。日本では、過去にWOWOWNHK  BSプレミアムが一部を放送し(放送終了、再放送の予定は未定)、現(2021年3月)はAmazonのprime  videoで「シリーズ1(case9まで)」が配信されています。
他でも、FODやU-NEXTなどで「シリーズ3(case 10以降)」を扱っているようです。
FODやU-NEXTは、無料視聴期間や有料になった時の料金などが異なるため、事前に確認してみてね。
 
このブログでは、Amazon primevideoの区分と邦題で記載しています。各メディアによって、邦題や「シリーズ」区分が異なることがあります。視聴する前に必ず確認を。