想定外って、国際共通?
〜「なんてこった!」のラストシーン〜
ちょっとご無沙汰してしまいました。理由は、このcase9の紹介記事が書きづらかったからです。何度見ても、えー、主人公がこんな目にあっていいのか〜!と思うラストシーンがあって、書きよどんでしまったのでした。
でもまあ、このエピソードをくぐり抜けないと、次のシーズンにすすめないし。
…意を決して、行きます!! ご笑覧よろしくです!
© Mammoth Screen Ltd 2012 All Rights Reserved. Licensed by ITV Studios Ltd.(BS11より)
1ケースで三倍おいしい
「刑事モース」シリーズは、1話みっちり約90分、登場人物みんなどこか怪しげで犯人っぽく、途中ヒントはあちこちにあるのでトイレにもうかつに立てない(失礼)、刑事ドラマです。
犯罪は、毎回平均3件くらい起こり、それぞれが重層的に絡み合っていきます。犯人にいたるまで、複雑な人間関係、いろいろな人の思惑があって、主人公も周囲に引き摺り回されるから、まして視聴者はぐるぐる(笑)します。
たぶん、1回見ただけでは犯人にたどり着けません!
3回くらい見ても発見がある、1caseで3倍美味しい本格派です。
直近の事件:case8はこちら
あの男も、ブレナム・ヴェイルに!
さて。case9では、主人公のモース刑事は、公私ともに大忙し。看護師さんとのお付き合いもイイ感じで、繕い物をする彼女を見やるモースなんて平和な光景?も見られます。
でも、途中で彼の〝お仕事イヤイヤモード“が一気に増す事件が、起こります。
モースは、case1ですでに退職願を作成していたくらい、職場に居場所がなくて、違和感をもっています。「弱者を救う」警官の仕事に意義は感じても、犯人を推理するために、その考え方や価値観が毎回、自分の心をむしばんでいくのはシンドい(case3で、上司サーズディ警部補に告白)。この直属の上司の存在が、モースを支えています。
註)のちに「仕事そのものは、たまに楽しい」と言うくらいにはなります(case13)が。
信頼する上司、サーズディ警部補が危険な目に遭い、自分もまた「刑事としての生命」が危うくなる事態が!!!
いやもぅ、詳しくは、ぜひ本作品をご覧ください。
ざくっと、ご紹介しておきますと。
物語は、かつて少年矯正施設ブレナム・ヴェイルがあった場所に、新しく4つの署が統合され、大きな警察署が1つ設置されることになったという発表から、始まります。
まず、警察と建設業者の癒着を追っていた記者が、不自然な死に方をします。次々に、ブレナム・ヴェイルに関わった人物、それも有力者たちが殺害されていきます。
次第に、少年矯正施設で「日常的に行われていたこと」や「隠し通したい過去」が見えてくると、不穏な動きが、警察署内から起こります。モースの身近な人物が、ブレナム・ヴェイルにいたことがあるということも、分かってきますよ(けっこう、びっくり!)。
「警察内部の腐敗」が、サーズディやモースに見えてきます。
おわりに
今回の事件のタイトル、「ネバーランド」は、童話「ピーターパン」に出てくる架空の国です。子どもが永遠に大人にならない=子どもが大人になることを拒否している国、「親とハグれて大人にならなくなった子ども」の例えにもなっています。
その「国」を汚したのは誰か? 狂気じみた人物が、最後に判明します。
モースも、12歳で母親と死別し、刑事1年目に父親を亡くし(case6)、親にハグれて戻るところのないひねくれっ子、大人になりそこねている少年の一人、なのかもしれません。
モースだけでなく、ブレナム・ヴェイルにいたことのある男にも、このあとのエピソード(英国では「シーズン3」に相当する)で、おおいなる転機を迎えるようです。
case9を見たら、case10を絶対見たくなります。
では、また〜!!