元編集者のナゾとき☆日記

ミステリー系のTVドラマ・映画・漫画の感想や生活実感コラムをつれづれなるまま書きます。

file 29「職業訓練」あるいは求職者支援訓練/後編

▶︎「訓練」は、みっちり!だった◀︎

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ハロワ(ハローワーク)に初めて行った日から職業訓練の受講スタートまで、私の場合は約2ヶ月かかりました。さらに「キャリアカウンセリング」の講座修了までは、3ヶ月。

講座の内容は、前半が主に講義中心、後半はロールプレイ型の実習(講師だけでなく訓練生同士で、模擬カウンセリング・面接の練習にそれぞれのフィードバックなど)。連日、月〜金曜の朝から夕方まで、1日6講義(ほぼ同一講師)ありました。

受講生は当初10名ほどいましたが、途中で2名脱落しています。

私が使ったノートは3冊、もらったプリントは100枚以上。小テストは、毎回7割以上正解でないと再テストなので、予復習も欠かせません。帰宅すると、頭の中がじーんとしびれていたような・・・。

この3ヶ月は、毎日のように、100本ノックを浴びたような気分でした.。野球をやったことはないんですけどね(笑)。

 

▶︎自分がむき出しになる感覚◀︎

職業訓練の後半で、ふしぎな経験をしました。 まるでマジックのようでした。

講師との模擬面談(受講者が「来談者」になり、職業相談をする)で、泣く人がいました。パワハラとか、いじめとかではありません。その受講者たちは、講師と話していくうちに思ってもみなかった自分に気づいた・・からだと思います。

1人は「母親が、今の自分(受講生)をどう思っているかが気になる」、もう1人は「転職先を見つける気力が今ひとつわかないのは、退職した会社から『戻ってこないか?』と連絡があったからだ」という、隠れていた本音が見えてきたようでした。

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現状の自分の気持ちを受け入れる。自分のこだわりを知り、無理やりそれをほぐそうとしない。ヒトから「そんなの、ダメ」とか「おかしい」とか言われるのを恐れて気持ちに蓋をするのではなく、ありのままの自分を受け入れる。自分を受容する。

これは、キャリアカウンセリングの大基本です。

 

私の場合もいくつか発見がありました。

一つは、自分のコトバづかいです。キャリアカウンセリングでは、来談者の「感情を表すコトバ」「繰り返すコトバ」などに注意しながら、傾聴するも、基本のキです。が、私は講師から「女性にしては、感情を表す言葉をほとんど言わないね」と言われました。

「感情を表すコトバ」とは、次のようなものです。

positive(喜、楽)系→好き・嬉しい・幸せだ・気持ちいい・満足・わくわくする

negative(怒、哀)系→嫌い・困る・心配だ・不快だ・つまらない・悲しい・いやだ

 

講評を受けて、自分なりに分析したことがあります。

自分のコトバづかいは、長い社会人経験の中で、知らないうちに男性化しているのではないか、と思います。仕事では個人の感情よりも、全体的な判断を優先すべきだと思ってきましたから、自分の考え方と相容れない部分を押さえ込んできました。「〜すべき」の囚人だったのです。

一時期、中間管理職(編集長)もやっていたので、感情を表すコトバ(自分の好き嫌いなど)よりも「立場としてのコトバ」を優先せねばならない、とも思っていました。「〜ねばならない」の囚人でもあったようです。

本音(好き嫌い)を探られないような、防御壁を築いていたのに気づきました。

以来、私は発言を「アイ(I)メッセージ」に変えようとしています。「私は、こう思うけどね」「私は、〜ができてうれしい」などと言うようにしたら、自分が解放されたような気になりました。

 

職業訓練を通して、自分自身の見方や職業観も変わりました。有意義でした。

当時、編集者とは全く異なる職種を選んで、無事、訓練修了前に転職先も見つけました。

(なんか、模範的なしめくくりで、いやだなああああ (笑)

 

▶︎おわりに◀︎

職業訓練の講義の中で、すごく印象に残った内容がありました。

フェルミ推論」です。私にとっては、初めて知ったコトバでした。それは「予想もつかない数字を、論理的思考能力をもって、概算する」力を養うことだと教えられました。考えること自体がとても面白かったので、以下、例題を記載します。

与えられた課題は「日本には郵便ポストがどれくらいあると思うか?」です。

さて、何本あると思いますか?

(「日本の国土面積は約40万平方km」ということだけが分かっていると仮定します)

 

1)自分が考え始めた発端は、自宅近くの「郵便ポスト」に関するエピソードでした。

わが家はマンションなのですが、新築当初、「付近に郵便ポストがないから、敷地内に郵便ポストを設置させてほしい」という、郵便局からの申し出がありました。「付近に」というのは、およそ「徒歩5分以内の距離」と、そのとき、言われました。

徒歩5分というのは、不動産の広告なら、距離400mです。(不動産では、徒歩1分=80m)

2)「郵便ポスト」の間隔が仮に800mだとして、それは満遍なく、日本全国にあるものでしょうか。たぶん、答えは否です。「郵便ポスト」は、山間部や森の中にはなさげです。

日本の国土は、先進国の中でも森林部分が多いと言われています。全国的に、森林部と平野部(人が住んでいるエリア)の比率は、0.65:0.35くらいでしょう。

3)推論の数式を、40万平方km✖️0.35(平野部)÷800m と仮定します。

この数式の場合、答えは、175万個となります。

(面積を示す数字を、間隔の800mで割るっていうのは、なんか、変だけど・・・。)

 

フェルミ推論で私が学んだことは、「正確な計算だけが、唯一無二の正解ではない」「考え方が大事」ということです。推論で重要なのは、考えることによって筋道が描かれ、概算であってもよいから、目安を知るのが大事ではないか、ということみたいです。

ここにも、「若干あやふやなモノがあるけど、あるがまま(考えたまま)を受け入れる」という、受容の心があるように感じます。

 

この時期、失業者期間は、6ヶ月でした。

久しぶりの勉強は心身ともに疲れましたが、知的刺激があって楽しかったです。

それまでの職業人生にいったんピリオドを打って、また始めるきっかけになりました。

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