▶︎序章
電子書籍は、どうも苦手だ。読む、という行為が、見る、という動作に変わり、私にとっては、どうにも脳内への収まりが悪い。知識あるいは知的刺激を収納するヒキダシが、みると読むとじゃ、位置も違う。記憶力が衰えた現在、「あれ、どこにしまったっけ?」という行動が、カラダだけでなく、脳内でも行われているのだろう。そんな老人力だけが、増している。
Kindleでの読書?は、やや不幸な体験だった。ある夜、寝転がって電子書籍を読もうとして、つい途中で眠くなった。そこで、タブレットを顔に落としたのだ。痛くて、一瞬で眠気がふっとんだ。
私の場合、すでに老眼のため、目近の読書はメガネをかけずに裸眼で勝負(笑)。もしメガネを着用していたら、タブレットが的中し、怪我をしていたかもしれない。くわばら、くわばら。以来、Kindleは私には無用の長物となり、改めてアナログ人間を認識するに至ったている。
暇つぶしに、連休前に、ネットの中古書店で書籍を購入しようと考えていた。そこで「送料無料」にするため、帳尻合わせで「23区全図」というものも併わせ買いした。時節柄、遠出・旅行できないなら、せめて地図見てアソボ、と思ったからだった。
それが、思わぬ「旅」の始まりだった。
▶︎ナゾの青の付箋
購入した地図を開けてみると、青の付箋が数枚、貼ったままだった。え、と思った。
中古書店に書籍などを売ったことのある人なら知っていると思うが、持ち込まれた商品(書籍、DVD、ゲームソフトその他何でも)は全て検品され、値段がつけられる。書き込みや汚れなどがあれば、本来の値段より下げられたり、「買取はできません」とか言われるハズだ。「価格ゼロですが、当店でお引き取りだけすることも、可能です」とか言われる可能性も、ある。
付箋が貼ったままの商品(地図)を、そのまま購入者に渡すというのは、基本的に考えられない。いや、地図は折り畳まれていたから、付箋が見過ごされたのだろうか?
付箋は全部で、7枚あった。千代田区のところに「警察庁」「警視庁」、品川区のところに「第二方面本部」、大田区のところに「大森北署」「駐車場(殺人現場)」と「S自宅」「T×××子宅」と書かれている。
※SもTも、苗字が書かれているが、ここでは伏せる。添付した写真でも、判明できないように撮影した。
細めの黒ボールペンを使って書いたのは、おそらく男性。右上がりで、文字一つ一つが縦長の、あまり上手くない字(失礼)。ちょっと神経質そうな人物が書いたような印象を受ける。
この地図は、もしかして、捜査資料だったりして???
「大森北署」がキイワードだった。ネットで検索してみると、それは架空の存在と判明。それどころか、ドラマに登場する所轄だということが分かった。
2014年に放送された「隠蔽捜査」というドラマの、主人公が務める警察署だった。
▶︎誰が売ったか? そのメリットは何か?
想像は、想像を呼ぶ。この地図の付箋作成者と、中古書店に持ち込んだ人物は別人かもしれないが、あれこれ、妄想という名の推理をしてみようと思う。
妄想1・ドラマ制作に関わった現場スタッフの誰かが、中古書店に持ち込んだ 説
→経費の精算がおくれて経理に怒られたなどの事情により、現場スタッフの誰かが地図を持て余した。ドラマ制作が終了して、地図が不要になったので、中古書店に持ち込んだのかもしれない。
中古書店が有料で買い取った場合、その金額は、持ち込んだ人間のポケットマネーとなる。「付箋をつけたままの商品」は店頭ではなく、ネットで買取の方式で、中古書店に渡ったような気がする。この地図は、店頭には並ばなかった?
妄想2・中古書店の店員(アルバイト含む)が、ドラマ制作スタッフだった 説
→自分でこっそり持ち込んで、こっそりポケットマネーにしたという・・イケナイ仮説。
妄想3・中古書店は、ドラマ制作の下請け会社と契約していて、そこの不用品をごっそり引き取る約束をしていた 説
→ほんとかいな???
妄想4・当該の中古書店は、ほかの中古書店から、今回の地図を仕入れたため、折り畳まれた地図の中身を点検することがなかった 説
→ほんとかいな???
妄想5・ドラマを見た視聴者が、地図に付箋を貼って楽しんでそれを中古書店に売った 説
→ま、このへんがありえる着地点ですかね。(笑笑)
・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・
そんなこんなの妄想をしているだけで、連休が終わってしまいました。付箋のおかげで、地図が楽しめたし、そのうち、現地に行ってみようかな?
ネットで調べると、撮影ロケ地は別のようですが。
地図の搬入ルートや付箋見逃しなど、解けぬナゾはナゾのまま、放置するのもよいかもしれません。
★追記
この記事に「ドラマ番組紹介」を加えようと思って調べたところ、TBSにて、6月12日(土)に、一挙、再放送の案内が!あるのを、発見!しました。
また、一部動画配信サービス(Amazonプライムなど)では、今でも見られるようです。参考までに。
●ドラマ「隠蔽捜査」番組基本情報●
制作年 : 2014年
全話数 : 11話
制作 : TBS・ドリマックス・テレビジョン
プロデューサー : 那須田淳、橋本孝、橘康仁
ディレクター・監督 : 岡本伸吾
原作 : 今野敏
脚本 : 中澤圭規
主題歌 : 東京
歌手 : wacci
サシスセソ事件簿file21.
「想像力」で、地図トラベル〜ヒマ人のイマジン〜
▷日常生活の中で浮かぶ、由なきことを、
サ行のキイワードに言寄せて、綴ります◁
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